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ヒツジfarm [作文]

<<1979年xx月xx日>> 

教室にミニチュア・ヒツジ牧場が出現した。

先生が枠を作って人工芝みたいの敷いて、クラスの皆が家庭科の課題で作った手のひらサイズのフェルトのヒツジを置いていったもの。

「わあ、すごいねー!上手だねー!」 「へぇー、うまいもんだな!」 

1ぴきのヒツジが、クラスメイトたちから賞賛を浴び、注目を集めてた。 

それは私の作った淡いピンクのヒツジ。

私は不思議でならなかった。褒められてもあんまり嬉しくなかった。

だってちっともすごくなんかない。私のヒツジは、ごく普通の出来栄えだ。

それに対し、みんなのヒツジが愕然とするほど残念な仕上がりなだけなのだ。

どんな感じかっていうと・・

・型どおりにフェルトをちゃんと切らない

・切り直しもせず、いびつな形のまま縫っちゃう

・縫い目が粗い 綿の詰めがゆるい

・歪んだ顔のパーツ・・・・・などなど。  

子供の手作り品だから、いびつでも歪んでても味わい深くユニークではあります。

一生懸命作ったんなら充分、精度を求める方がおかしいんじゃない、とか思う? 

そういうことじゃなくてさ。 

ちっとも難しくなんかないことなの。

少し気を付けて丁寧にやればいいだけのことなのよ。 

例えば、折鶴はカドをきちっと合わせて折らなきゃキレイに出来ないけど、あれと同じ。 

クラスのみんなは「出来ない」んじゃなくて「やらない」だけだと思った。 

なんでやらないの?? 私は不思議でたまらなかった。 

 

私はなんとなく、薄桃色のフェルトでヒツジを作りたくなった。

そんな色のヒツジはいないけど、作りものならいてもいいんじゃないと思った。

でも、牧場のヒツジはみーんな白かった。 

みーんな白ばっかだから、私の桃色ヒツジはその中で浮きまくってたのに、「なんでピンク?」とか「変な色!」と言う子は1人もいなかった。

それもまた、私には不思議に思われてなりませんでした。

ハテナがいっぱい・・・私の普通は普通でとおらないようだと感じた。

 

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<<あとがき>> 

だからって自分を人とは違うんだとか特別なんだと思ったことなど1度も無くてですね、

むしろそんな考えが脳裏をかすめると、怖くてそれを打ち消してたような気がするなぁ

この桃色ヒツジはその後、中学の音楽準備室(部室)に、長いこと処分もされずマスコット的に居座り続けたのでしたが・・・今はどうなっているやら。さすがにもう、いなくなってるかもね。


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